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2021年夏、ようやく本になりました。

[ファッション]
1年ぶりの書き込み/メモです。

2012年4月より、マーケティング・レポート「The Across」を発行する運びとなりました。

ストリートファッション マーケティング ウェブマガジン ACROSS(アクロス)


これは、2000年に紙からウェブへと新創刊して12年目を迎えての新しいチャレンジ。これまで、ブログ、SNSとさまざまな「メディア」に手を出してきましたが、今再び、シンプルに、肌感覚のある紙メディアに“原点進化”することにしました。

「先がよめない」といわれる昨今、改めて、過去を知り、今を(改めて)理解することで、未来を予測することができるという「定点観測」のメソッドを活用し、「流れ=時間軸」で情報をよみ解くことの重要性を伝えたいという思いもあります。

補足すると、「WEBアクロス」は、新創刊した2000年当時、それ以前に流行したファッションやモノ、コトなどが、ある意味「等価=フラット」化し、順不同に、自由に(それほど大きな意味性もなく)組み合わされるようになったことから、毎月の定点観測をベースに、「論(ストーリー)」よりも、個々の細かい現象を「データ」のように扱い、淡々と取材し、考察し、「データベース」のように掲載することで、読み手に時代の考察を委ねるスタンスを取っていました。

その後、00年代を通じて、いろいろなものがフラットになり過ぎてしまい(≒スーパー・フラット化)、「決定回避の法則」じゃないですが、人々は自らの意思をもって選択するのが 難しくなってしまいました。となると、断片的な情報(ランキングの上位であること、売上げの高いもの、メジャーなものなど)だけで優越がつけられるようになり、「保守的な選択」をする人が増えるのはある意味当然のことでしょう。

「定点観測」では、<トレンドの2年越し現象><同3年越し現象>というベタな表現をしましたが、1年めに流行ったアイテムが翌年さらに幅広い層に支持されるように商品開発がなされ、さらにその翌年、サイズ展開も豊富になり、年齢層を幅広く捉え、マストレンドになっていく、という現象が00年代後半以降、頻繁に起こりました。トレンチコートやカーゴパンツ、ダウンアウター、ブーティなどはその典型的なアイテムです。

つまり、「IT消費」の時代の本格的な到来です。消費者(顧客/CRI)分析を ベースとした商品開発が盛んになり、その通り支持され、トレンドのマーケットはよりフォロアー層へと拡大していったわけですが、大きなグローバルトレンドからは少しズレたドメスティックトレンドが主流になっているのも00年代後半以降の特徴といえるでしょう。どのショップに行っても同じようなアイテムが店頭に並ぶ<MD似過ぎてる問題=コモディティ化を助長。そのうち、「定点観測」でインタビューしても、ブランド名が言えない(覚えていない、覚える気もない)人も少なくありませんでした(商業施設の名称を知らない人も少なくありません)。

昨年のトレンドセミナーで提唱した「みんなが好きなものが欲しい」「ほどほどのトレンドのものが好き/充分」という価値観/志向性/消費特性をもつトライブ(グループ)、<守られ系・ぼんやり系>の一般化は、そういった時代・社会が生んだものと考えます。

しかし、時代は巡りテン年代(2010年代)になり、そういうぼんやりとした保守的な状態が「面白くない!」と、クリエイティブ感覚いっぱいに、自由に自己表現をする新しい若者世代(=90年代生まれ)が本格的に台頭。ファストファッションで購入した安価な服や古着をリメイクしたり、自身で発行人兼編集長のリトルプレスをリリースしたり、やや下がった不動産事情を背景に、独立して住宅街にショップをオープンしたり、ギャラリー兼サロン的な空間を仲間で共同で借りたりといったDIY感覚>や、スケボーカルチャーや裏原宿カルチャー、カワイイカルチャーなどをネットや古雑誌などで一生懸命勉強する<90年代ストリートカルチャー・リスペクト>のマインドなど、<コスプレ世代>が牽引する新しい価値観の断片を日頃の取材でキャッチアップしつつ、それらと連関する過去の事象を紐解き、繋げて、再び<今という時代>をよみとく。そういう「ガイド」が必要な時代になっているようにも感じます。今をよみとき、次の時代に繋げる(=ACROSS)、「アクロス」編集部は、“The Across”をもって、<原点進化>します。