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2021年夏、ようやく本になりました。

いよいよ修論を書かなくてはいけない時期になってきた。

「ひとはなぜ服を着るのか」、とは哲学者で現在大阪大学総長を務める鷲田清氏の著作だが、「(衣服を着ることが身体に与える影響の)リアリティというか、それを着た内面的作用というのが絶対洋服にはあるから、そのリアリティとクリエイションのバランス感が、シアタープロダクツの洋服ということなのかな、と思うんです」と言ったのは、「服をつくる集団」を標榜するブランド、シアタープロダクツTHEATRE PRODUCTS)」のデザイナーのひとり、中西妙佳さん。

アーティストとしてのファッションデザイナーでなければ、流行や時代の変化を読み説き、消費者の気分や潜在的なニーズをいち早くキャッチし、最終的に<服>というパッケージに落とし込むことがファッションデザイナーの仕事だと思っていたが、今日、以下のような興味深いリリースが到着。先日のショーを見て、インタビューをした際に、ただ者じゃなさそう!と心がワクワクしたのは間違いじゃなかった!? 

少し大げさに言うと、21世紀の東京から、またひとつ、<ファッションデザイナーの新しいかたち>が誕生した、かな?


まずは、以下に転載したリリースをご覧ください。

ファッションレーベル『writtenafterwards(リゥトンアフターワーズ)』、
ファッションデザイン教室「ここのがっこう」を開講

ファッションデザイン、制作販売等を行う、株式会社リトゥンアフターワーズ では、デザイナー自ら運営、講師を務め、また生徒と同じ目線で一緒に考え、 学んでいくファッションデザインの教室「ここのがっこう」を開講いたします。
ついては、10月25日の体験講習受講生、ならびに11月13日からの第一期受講生の募集をスタート。
また、大学・専修学校等を対象にした、特別講義等のご依頼も募集いたします。

「ここのがっこう」WEBサイト
http://www.coconogacco.com/

以上。


興味深いのは、設立の背景という部分。
もともと、同ブランドは、「教育、社会、文化、環境的観点を持った「コミュニケーションツール」としてファッションの役割を提案していく」ことをコンセプトとしており、若者たち(デザイナーも充分若者ですが)と接触するなかで、常にこころをまっさらにして感じ取ることの大切さを感じているのでしょうか。

話がぐいーんと私的サイドに寄りますが、「定点観測」のほんとうの意味、意義というのも、そういう「感じ取ること」にあるのです。今、目の前に繰り広げられている事実をどう捉えるのか、その何故?と読み解く力、「見る目」を鍛えるのが、「定点観測」なのです。

実は、これが私の修論のテーマの神髄でもあります。昨今のマーケティングの世界においては、日常生活、生活文化を読み解くための定性調査の手法としてカルチュラルスタディーズやクリティカルエスノグラフィー、エスノメゾドロジーといった方法論の重要性が(一部で)叫ばれるようになっているのですが、そこに「定点観測」も含まれることを検証しようと思っておるわけです。とまあ、言うは易し、行うは難し(苦笑)!


話を戻して、writtenafterwards(リゥトンアフターワーズ)」の「ここのがっこう」ですが、これは、ありとあらゆるクリエーションが出尽くし、70年代、80年代、そして90年代とそのアーカイブをリミックスしたトレンドも出尽くしたように、<情報がモノ化>し尽くされた今だからこその、<服をつくること>の新しいかたちのような気もします。

そして何より、それが東京という世界一の情報都市だからこそ、とも思うのでした。


同ブランドの2009SSのコレクションの記事はこちらをどうぞ↓
http://www.web-across.com/todays/cnsa9a000001niyj.html