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2021年夏、ようやく本になりました。

仕事柄か個人的な志向性からかは今では分からなくなってしまったが、電車に乗ると必ずすることのひとつに中吊り広告のチェックがある。

路線によって掲載されているものが違うし、最近では山手線などがもっとも多いが、電車の側面(外側)やドアに大きなビジュアル広告が貼り付けられていたり、中吊り全部が同じ広告だったりなど、まるで遊園地の乗り物にでも乗っているような気がすることも。
ったく何を考えてるんだか、広告屋さん&企業たちは!というのが正直なところだが、この空前の交通広告ブームとなっている理由は、その商品だったりブランドだったりを、「不特定多数の人たちに知らしめたい」からで、ターゲットを細分化し過ぎた末の、商品開発の「大衆」ねらいへの回帰なんだな、とも思う。「オールターゲット」、いくつかのお手伝いをしている企業の研究者が最近よく口にする単語のひとつでもある。ゼミのサイトもこれで行こう!

それにしても、キャラメルのような日本の電車やバスは、外国人観光客からするとさぞかし楽しいんだろーなー。やれやれ、と思っていたら、中吊りを見て「!」となったのがこれ(写真)である。ペールトーンのカジュアルスーツにユルふわのヘアスタイルの男性は、『サンデープロジェクト』や『朝まで討論!』の田原総一郎氏ではっ!? 
この田原氏が「お茶目なモテ」か否かは判断が分かれるところだが、あの強面の田原氏が、渋谷や表参道、いやいや先にオープンした「丸の内ハウス」にでも居そうなオダギリジョー的「ハイストリート」な男性へと驚くべき変身を遂げているのは確かだ。
そうそう、オジサンからオジサマへの簡単な変身テクニックをひとつ。それはズバリ、「明るい色」を着ること、持つことである。シャツ、ネクタイ、名刺入れ、バッグ、カフス、靴、ソックスなど。いちばん取り入れやすくてオシャレに見えるのはオレンジ。薄いイエロー系のものも顔が明るくなって「ファッション度」UPである。

おっと、本題は、そんなことではなく、この田原氏を表紙に起用した『zino』や、55歳以上限定と銘打った『Z』(龍宮社)が、相変わらず、高級なモノや住まい、旅など、高額消費を煽る内容一辺倒なのが気になった点だったっけ。
前者では「理想の社長別宅を青山につくる」ということで、実際に三井不動産とタイアップし、青山のタワーマンションのモデルルームとして登場するらしい。見学会も催すとのこと。うーん、取材しとこうかなあ。。。
一方『Z』6月号では、「円満。爛漫。」が大テーマ。『zino』ほど「モテ」を前面に出してはいないものの、「粋Zだから、最上級の贈りもの。」と題して奈良や京都のリゾートホテルやオススメショップが紹介されていて、いかにも、優雅なハッピーリタイアメント・ライフといった雰囲気だ。昨年お手伝いした団塊世代の男性を集めた座談会では、確かにそういう優雅な層はいたけれどほんの一部で、大半はそんなライフスタイルに憧れつつも、郊外型のSCでユニクロを買う、というのが現状のようだった。となると、せいぜい大型消費をするのは、クルマと海外旅行くらいなのだろうか。あ、今年辺りからは、そこに「大学院に行く」っていう選択肢も入りそうだな。


ちなみに、別の電車に乗ったら、『Z』の隣が『SPA!』で、「20-30代、景気回復でも消えない不安の正体」というタイトルが目に飛び込んできた。なんという対峙だろうか!

http://www.web-zino.net