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2021年夏、ようやく本になりました。

今さら、ですが、渋谷にオープンした「OPENING CEREMONY(オープニングセレモニー)」についての感想をまとめてみました。


オープン初日を視察した後、たまたまアメリカ出張でLAの同店を訪問。日本1号店が、一戸建てのLA店の2Fの「shop-in-shop」= 「Mini-Mall」をイメージしようとしたものであることがよくわかった。

どうしてもそれとの比較、と考えると、日本1号店の唯一の賞賛ポイントは内装でしょう。もともと「」MOVIDA(モヴィーダ)」は地型が悪く各フロアも狭いというハンディがあります。それを、小部屋のようにうまく仕切って各ブランドの世界観を表現したり、ユニークなフィッティングルームで売り場に変化をもたらすなど、少ない商品数と、エスカレータによる上下運動のつまらなさを、高度なクリエーションにりカバー。「楽しい売り場」になっていました。さすがJAMO! 従来の平場を核とした効率重視の百貨店の売り場づくりからすると画期的な印象を受けました。

しかし、そのような一見楽しそうな売り場ではあるが、肝心の商品群がLA店に比べるととても少なく、ライセンスによるPB比率が高く、「ファッション好き」には消費を喚起されるようなワクワク感には欠けて残念。アートブックや食器、雑貨、コスメ等の商材が売り場を賑わせてはいるものの、世界中のいろんなものが集まっている(しかもゴチャゴチャに)大都市東京にあっては、あまり珍しさは感じられませんでした。

とはいえ、最近増加しているアジア圏からの観光および留学/就職等の富裕層には、アメリカに行かなくても済むという意味では、ある程度の人気店になる可能性はあるだろうな、と思った。

商品の点では、ギャルソンやTOGA(トーガ)、sacai(サカイ)、KALOR(カラー)といったLA店では多数みられた日本人デザイナーのブランドがほとんど見られず、こちらも残念。おそらく日本のメーカー/ブランド側からもバッティングするからと取り扱えなかったのでは、と推測されるが、そういった「内向き(企業論理)」の姿勢は、実は国際競争力がある日本人デザイナーのブランドたちの国内での評価を下げることになる(または、評価向上に反する)のではないかと考えると、どうなんだろう、と思ったり。日本人ブランドの服、クォリティ高いです。実は、ユニクロの海外の人の評価は、「low price(安い)」ではなく、「high quality, and good price(ハイクォリティ&グッドプライス)」。

また、「ファッション好き」であればあるほど、古着を含み、いろいろなブランドをコーディネートする時代になって久しいなか、いつまでもブランドごとのハコ/ラックでしか商材を提供できない、いえ、発想が及んでいないのが悲しいようにも思う。NYのバーグドルフ&グッドマンとか見たほうがいい。おそらく、効率重視のマジメな日本人の多くの人(とくにお金と力を持っている人たち)に、今欠けているのは「発想力」「クリエイティブ力」なのかもしれません。

こちらも今さらですがお薦めします。


いずれにしても、海外で評判のものを「輸入」すること=舶来至上主義に頼る事業戦略の感覚自体が時代遅れであることは明らかで、今こそ、目の前にある「Made in JAPAN」商品・ブランドたちを訴求&輸出するべき時代が来ていることも痛感しました。

ちなみにNY店は、売り場の他に、ショールームと新進気鋭のクリエーターたちを紹介するギャラリーとのコンプレックスビルとして展開。大都市圏ならではの、「クリエイティブ」を刺激するつくりになっているようです。

そうだ、修論が無事に終わったら、NYに行こう。